加茂大祭のこと
祖父母のお墓参りも兼ねて岡山県吉備中央町の秋祭り加茂大祭に行ってきました。
950年の伝統を誇る岡山県三大祭のひとつで現在は十月の第3日曜に開催されます。
加茂大祭について
加茂大祭は町内8つの神社が総社宮へ集まり、総社宮を合わせた9つの神社で大祭が行われる寄宮祭(よせみやさい)で岡山県の重要無形民俗文化財に指定されています。
平安後期に旧加茂郷で悪疫祓除の感謝のために神社が参集したのが祭りの起源だそうです。
総社宮に集まる8つの神社は、御神輿行列が総社宮に入っていく入御(にゅうぎょ)の順に鴨神社、化氣(けぎ)神社、松尾神社、日吉神社、素戔嗚神社、八幡宮、天計(あまはかり)神社、三所(さんしょ)神社です。
入御の順番も時刻も正確に決められています。
前日は各神社周辺で宵祭りが行われ当日の流れはこんな感じです。
06:00 各神社総代が総社宮に集合。
07:00 お入り(入御)。幟を先頭に鳥居の内外で棒使いや獅子舞などを奉納して最後に御神輿が神社に入ります。御神輿は本殿左右に設けられた長床(仮宮殿)に入ります。
11:15頃 お入りが終わり一旦休憩となります。
12:00 「お遊び」。太刀振り・麒麟獅子・棒使いの奉納です。
12:30 御神幸(ごじんこう)。長床から順に出された8つの御神輿が横一列に並び一斉に差し上げられます。
13:30 お立ち(還御)。各神社の御神輿行列が決められた順に総社宮を後にして各地区へ帰っていきます。
15:30頃 終了
見どころ
お入りの際に鳥居の内外で演じられる奉納と、午後のお遊び行事が見ていて楽しかったです。
奉納は棒使い、奴練り(鳥毛)、獅子舞など各神社同じなのですが、例えば松尾神社の獅子舞、日吉神社の鳥毛など各神社特徴があるそうで興味深く見入ってしまいました。
お遊びで行われる太刀振りは、薙刀をすごい速さで振り回すのですが失敗すると薙刀が飛んでいくなと思うとこちらが緊張しました。
麒麟獅子(継ぎ獅子)は長床の前で各神社の獅子が高さを競うように舞います。写真でもわかるように肩の上に立って舞っています。
御神輿で珍しいのが化氣神社の榊葺神輿(さかきぶきみこし)です。榊の葉を糊で一枚一枚貼っているそうです。大変わかりづらい写真ですがきれいな緑色の屋根の御神輿です。
お祭りの長い一日
このお祭り、見る側もまぁ長いですが参加する側はもっととっても長いんです。
御神輿行列は早朝の総社宮到着に合わせて各神社出発するのですが、一番遠い化氣神社は午前1時集合の2時出発だとか。まだ寝ているうちから花火が鳴り御囃子や御神輿をあげる雄叫びが聞こえてきました。
この時期の吉備中央町の深夜早朝は10℃を下回ります。お神酒で身体をあたためながら、所々で料理も振舞われて総社宮に着く頃にはもういい感じにできあがってしまうそうです。
さらにお立ちで各神社に到着するまでの間、行き同様お酒や料理が振舞われたり宮司がお祓いをしたりで神社に到着して奉納して、遅い神社で20時頃終了と聞きました。御囃子や棒使いなどの子どもたちにとってもかなりハードな一日だと思います。
御神輿は現在は少しトラックに乗せるそうですが、それでも待機中を含めて長時間担いでおられますから大変そうです。
重要な役割がたくさんある加茂大祭ですが、氏子の世帯数の減少で現在は保存会の協力なしでは厳しい神社もあると聞きました。
祖母の家は氏子ではありませんが、その家に住むいとこも子供の頃は神具を持つ手伝いで参加していました。
母や叔母の時代は女性は参加していなかったと記憶しているということですが、御囃子隊には女性も子どもたちも多く参加していました。
日吉神社には小さい獅子がいて幼い子どもが代わる代わる演じていて感心しました。子どもを参加させることに賛否両論あるそうですが、個人的には次の世代へ引き継がれていく素晴らしいことだと思いました。
お祭りのお楽しみ
この地域では祭りの日には各家庭で鯖寿司を作るそうです。たくさんのお料理とともにお弁当に持って行ったり振舞ったりします。
ところがうちは祖母が魚が苦手だったらしく母も叔母も「うちでは鯖寿司出たことない」と言います。この日のうちのお弁当も鯖寿司ではなくいつものばら寿司でした。
お昼頃、青く晴れた空と御囃子のBGMに彩り豊かなお弁当畑が広がりました。
たくさん並んだ露店も祭りの楽しみのひとつです。
「今年は少ないなぁ」という声が聞こえてきましたが一通りなんでもありましたので、早朝から参加してお腹がすいても大丈夫。
ボールすくいや輪投げなど祭りに飽きた従甥も楽しんでいたようです。
総社宮のお向かいにはお祭り会館があり、祭りの日は無料で開放されていたので休憩に覗いてみても良いかもしれません。
アクセスは悪いですが駐車場は所々設けてありシャトルバスが出ているとのことです。事前に公式サイトや関連サイトを確認するのが良いですね。
祭りの後、数日間は祭囃子が耳について離れず嬉しい余韻を楽しみました。飽きたと言う従甥も帰ったらシーツを被って獅子舞遊び。
滅多に会えない友人や親族が祭りで再会し笑顔でまた別れる。いつ会えるかわからないけど祭りに来れば出会えるかもしれない。軽く同窓会状態のいとこを見て心があたたかくなりました。